アメリカえほん記

アメリカで読んだ英語絵本の記録です。

Swimmy -スイミー-

作:Leo Lionni。

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あらすじ

赤い魚の群れの中でただ1匹の黒い魚、スイミースイミーはだれよりも速く泳げました。

ある日、凶暴な大きな魚がやってきて、赤い魚たちを飲み込んでしまいます。逃げられたのはスイミーだけ。

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スイミーは一人さびしく海の中を泳ぎましたが、美しいものでいっぱいの海の中を泳ぐうちに、次第に元気になってきました。

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そして、スイミーは岩や海藻のかげに隠れている魚の群れを見つけます。スイミーは一緒に遊ぼうと誘いますが、群れは大きな魚が怖くて出てこられないのです。

でも、いつまでも隠れているわけにもいきません。スイミーは考えます。

そして、みんなで集まって1匹の魚のように泳ぐことを考えました。

スイミーはみんなに教えます。くっついて、けして持ち場を離れないことを。黒いスイミーが目になります。

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そして、ついに大きな魚を追い払ったのでした。

 

英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・mussel (ムラサキガイ)

・fierce (獰猛な、凶暴な)

・marvel (驚異、驚くべきこと)

・medusa (クラゲ)

・walk about (目標なく歩き回る、散歩する)

・"I have it!" (「わかった!」)

 

お気に入り度:

小学校の教科書でも おなじみ、「スイミー」の原語版。

アメリカ人の友人に「日本人ならみんなこの話を知ってる」と言うと、びっくりされました。アメリカではさほど有名でもないようです。また、アメリカの小学校には「教科書」というものがないので、「誰もが知っている物語」があること自体が驚きだったようです。

 

さて、私の小さい頃のスイミーの記憶は「黒いスイミーが目になって、みんなで泳ぐ話」でした。

数年前に、子供が小学校(日本)でスイミーの劇をやるのを見て、クラゲとかイセエビとかウナギが出てくることを認識したくらいで、正直エンディング以外はあまり覚えていなかったのです。

 

でも、絵本を見てイメージが変わりました。スイミーが海で出会うひとつひとつの生き物の不思議さ、素晴らしさが丁寧に描かれていて、とても印象深いのです。イラストも、1つ1つの生き物を見開きで大きく描いてあり訴えかけてくるものがあるし、文章も、体言止めというのか、短い文章で力強く書かれています。

たとえば:

strange fish, pulled by an invisible thread...(不思議な魚たち。見えない糸にひっぱられているよう。)

 

教科書だとどうしても文章メインで、イラストは挿絵程度になってしまうので、絵本とはずいぶん印象が変わるのでしょう。

 

調べてみたところ、スイミーは原作者の意図と違う解釈がされてしまった本ということで有名みたいです。

 

作者が込めた真のメッセージとは? 名作絵本『スイミー』の真相 [子育て事情] All About

結構間違って解釈されている、絵本『スイミー』の話。絵本の本当に伝えたい事をわかるには…?|男性保育士こんなかんじでやってます

 

日本語版は谷川俊太郎さんの翻訳。原作に忠実ではあるのですが、言葉の選び方、文章の切り方、倒置法の使い方など、とてもセンスがあって、原作よりも日本語版の方がテンポよく読め、ドラマチックに感じます。

たとえば:

(英語) Swimmy thought and thought and thought.Then suddenly he said, ~

(日本語) スイミーは考えた。いろいろ考えた。うんと考えた。それから、とつぜん、スイミーはさけんだ。

 

イラストは安定の美しさ。さすがレオ・レオニです。

小さい赤い魚たちがゴム判をたくさん押した感じで表現されて雑魚感がよく出ていているのが、なんとなくツボです。

 

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スイミー―ちいさなかしこいさかなのはなし

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