Big Red Lollipop -ぺろぺろキャンディー-
作:Rukhsana Khan、イラスト:Sophie Blackall。
あらすじ
ルビーナは友達の誕生日会に誘われました。妹のサナがついて行きたがり、お母さんは妹を連れていかないなら行ってはダメといい、仕方なくルビーナは妹同伴で出かけます
幼いサナはパーティーゲームで負ければ泣き叫び、パーティーはめちゃくちゃです。誕生日会のお土産でもらったプチギフトも、サナはその日のうちにお菓子を全部食べ、おもちゃは壊したりなくしたり。
ルビーナが次の日に食べようと大事に取っておいたペロペロキャンディーも、サナがこっそり食べてしまい、わずかしか残っていませんでした。
怒って追いかけるルビーナに、お母さんが「たかがキャンディーくらい。分ければいいじゃない。」と言い、サナも「全部食べずに残しておいたでしょ!」と自慢げ。ルビーナは残りものなんか食べたくありません。結局サナが全部食べました。
でも、それよりも最悪だったのは、それ以来だれもルビーナを誕生日会に呼んでくれなくなったことでした。
月日がたち、サナが友達の誕生日会に招待されます。サナの妹のマリヤムも行きたがり、お母さんはサナに妹を連れていくように言います。
泣いて嫌がるサナを見てルビーナがとった行動は・・・お母さんに、サナを一人で行かせてあげるように頼むことでした。
パーティーの後、帰ってきたサナはもらってきた大きなペロペロキャンディーをルビーナにくれました。それからは、二人は仲良くなりました。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・call up (電話をかける)
・plead (嘆願する、弁解する)
・musical chairs (いす取りゲーム)
・shove (押しのける)
・scoot (かけだす、走り去る)
・"For shame!" (「ダメでしょ!」、「みっともない!」)
・skitter (速やかに進む、水面などをすれすれに進む)
・scurry (慌ててちょこちょこ走る、小走りに急ぐ)
お気に入り度:★★★★☆
作者のルクサナ・カーンは、3歳のときにパキスタンからカナダに移住してきて、実際に妹の立場としてこの本と同じ体験をしたそうです。お母さんには、カナダの誕生日会のイメージがわかず、妹を連れて行ってもよいものと考えたのでしょう。
ルビーナが不憫で泣けます。最後には仲直りできてよかったね、とは思いますが、もしルビーナがサナに助け船を出さなくて、サナも妹をつれて誕生日会に行っていたら、より深く反省できたのではないかな、とも思います。でもこの本では「仕返ししない」ことを伝えたいのでしょう。
母親のアミは、お姉ちゃんに厳しすぎる感じもしますが、成長したサナにも同じ姿勢を貫くところはきちんと筋が通っていて正しいやり方だと思いました。
ところで、英語版だとアミのことを母親だとは一言も書かれていません。単にAmiと出てくるだけです。ルビーナも「Ami!」と呼びかけています。お母さんを呼ぶときは一般的には「Mom!」だと思うので、はたして子供たちとの関係は・・・?住み込みの家政婦さんという可能性も捨てきれません。
日本語のレビューを見てみると、みなさん「お母さん」と書かれているので、おそらく日本語版では「おかあさん」と訳されているのでしょうけど。
雰囲気のあるイラストがとても素敵です。一家の(特にお母さんの)民族衣装や、誕生日会に来ている様々な人種の女の子たち。そしてルビーナがサナを追いかけるシーンでは、北米の家の雰囲気、広くて部屋と部屋の間にドアがないところ、がうまく描かれていてリアルです。
- 作者: ルクサナカーン,ソフィーブラッコール,Rukhsana Khan,Sophie Blackall,もりうちすみこ
- 出版社/メーカー: さえら書房
- 発売日: 2011/08
- メディア: 大型本
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