The Two Bullies -ふたりの力じまん-
作:Junko Morimoto。
あらすじ
そのむかし、日本にニオウという名のとても強い大男がいました。
ある日ニオウは、中国にドッコイという名の強い男がいると耳にし、挑戦しに行くことにしました。八幡様に必勝祈願のお参りに行くと、見知らぬ僧がニオウに「なんでも切れる」というやすりをくれました。ニオウは知りませんでしたが、それこそが八幡様でした。
何日も舟を漕ぎ中国に着いたニオウは、ドッコイの家をたずねましした。あいにくドッコイは出かけていたので、家で待たせてもらいます。
すると、地震のような地響きが聞こえてきました。なんと、何マイルも先からドッコイが帰ってくる足音だというのです。ニオウは勝ち目がないことをすぐに悟り、トイレに行くと言って、トイレの窓から逃げ出しました。
家に帰ってきたドッコイは、巨大な足跡を見て、日本のニオウのものに違いないと理解しました。でもニオウは逃げたあと。
ドッコイは足跡をたどって岸まで追いかけますが、ニオウの舟はもうありません。
そこで、ドッコイはニオウの舟に向かって錨(いかり)を投げます。ニオウの舟の船尾に引っ掛かった鎖を力いっぱい引くドッコイ。
ニオウも頑張って舟を漕ぎますが、舟はどんどん岸に引き戻されます。そのときニオウは僧にもらったやすりを思い出し、鎖にやすりをかけます。なんどもやすりをかけると、ついに鎖は切れました。
こうして、ニオウは日本に帰ることができました。
家に戻ったドッコイは、鎖を引きちぎるほどの怪力のニオウと戦わなくてよかった、と安堵します。
日本に戻ったニオウも、危ないところだった、と胸をなでおろします。
このときから、中国では重いものを持ち上げるときに「ニオウ!」と言い、日本では「ドッコイ、ショ!」と言うようになったということです。
また、八幡さまに感謝して、神社の入り口には仁王像が建てられるようになったということです。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・bully (ガキ大将)
・proclaim (宣言する)
・file (やすり)
・heave (重い物を持ち上げる、放り投げる)
・stern (船尾)
・haul (ひっぱる、たぐる)
・rasp (やすり)
・rip (引き裂く)
お気に入り度:★★★☆☆
日本人作家が書かれた英語絵本です。日本の内容なので、日本語版も出版されているかと思いましたが、見つけられませんでした。
迫力のあるイラストが、物語とよくマッチしています。大男を下から見上げた絵や、逃げていくニオウを空から見下ろしている絵など、アングルがいろいろで絵本の中の世界が360度見えるようで楽しいです。
文章も比較的簡単で、物語の展開が早くて飽きません。小さい子への読み聞かせにもよいと思います。