Where The Wild Things Are -かいじゅうたちのいるところ-
作:Maurice Sendak。
あらすじ
ある晩、たくさんのいたずらをしたマックスは、ご飯ぬきで寝室に入れられてしまいます。
その夜遅く、部屋は森のようになり、気がつくとそこは森に囲まれた世界の中心でした。
海にはマックス用のふねがあり、ふねに乗って毎日毎日、1年が過ぎるくらいに航海すると、かいじゅうたちのいるところに着きました。
マックスたちはおそろしいかいじゅうたちを懐柔し、睨みつけて怖がらせると、かいじゅうたちはマックスのことを世界一ワイルドなかいじゅうの王様と呼びます。
マックスはかいじゅうたちを従えて、暴れ騒ぎます。
騒ぎを終えたマックス、かいじゅうたちをご飯もなしで眠らせると、さびしくなって、待つ人のいる家に帰りたくなります。どこかから食べ物のいいにおいもします。
また船に乗って長い航海に出たマックス、夜のうちに自分の部屋に到着し、そこにはまだ温かい夕食が用意されていました。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・mischief (いたずら、悪さ)
・tumble (のたうちまわる、揺れ動く)
・gnash (きしらせる:gnash one's teeth =歯ぎしりする)
・claw (かぎ状のつめ)
・"be still!" (「じっとしろ!」)
・rumpus (騒ぎ、がやがや)
お気に入り度:★★★★☆
日本でも人気の「かいじゅうたちのいるところ」の原作。数年前に日本語版を読んだときは、正直あまり面白さがわからなかったのですが、英語版で読んでみると面白かったです。(英語で読むと「夢オチ」だなと想像がつくのですが、日本語だとそれがわかりにくく、「何でいきなり森とか海とかかいじゅうが出てくるの??」となって、ついていけなかった)
日本語版では、全体的に怖さを和らげるようなユーモラスな書き方になっているのですが、英語の方がかいじゅうの恐ろしさやマックスの孤独感などがダイレクトに伝わります。
たとえば、かいじゅうの描写は以下のように、日本語の方が軽めの表現です。
英語:they roared their terrible roars and gnashed their terrible teeth (恐ろしい唸り声を上げ、恐ろしい歯をきしらせて)
日本語:すごいこえで うおーっとほえて、すごいはを がちがちならして
そして、個人的に気になるのは、何度も出てくる「wild」という用語。日本語訳ではすべて「かいじゅう」と訳されています。翻訳者さんもどう訳すか悩んだそうですが、森に住む変な生き物「Wild Things」の見た目と合う言葉として「かいじゅう」にしたらしいです。でも、wildには「野性的な、無秩序な、特別な、・・・」などいろんな意味があり、別の訳し方の方がいいと思える箇所がいくつかありました。
たとえば、いたずらをしたマックスを怒るお母さんのセリフ
英語:WILD THING! (untamed, not controlled、などの意味で、「いたずらもの!」「わからずや!」あたりのイメージ。)
日本語: この かいじゅう!
・・・この日本語訳だと、お母さんはマックスのいたずらを諦め気味に許しているような空気が感じられ、晩ご飯抜きで寝かせるという立腹ぶりとつながらない気がします。
ほかに、かいじゅうたちがマックスを恐れている場面の描写
英語:they were frightened and called him the most wild thing of all (violent、もしくはspecialの意味で、「彼らはおそれおののき、世界一の乱暴者だ(尋常じゃない)と言った」)
日本語:かいじゅうたちはおそれいって、こんな かいじゅうみたことない といって
・・・この日本語訳だと、「こんなかいじゅう」の意味が不明確で、マックスのことを恐れている雰囲気が伝わりにくいように思います。frightenを「おそれいって」と訳しているのも、怖がっている様子が伝わらない気がして私の好みではありません。
ということで、この本は英語で読むのが断然おすすめです。
- 作者: モーリス・センダック,じんぐうてるお,Maurice Sendak
- 出版社/メーカー: 冨山房
- 発売日: 1975/12/05
- メディア: 大型本
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