The Rainbow Fish -にじいろのさかな-
作:Marcus Pfister。(英訳:J. Alison James)
あらすじ
にじうお(Rainbow Fish)は、かがやくうろこが自慢です。
ある日、小さな青い魚がやってきて、うろこをくれないか、といいました。
にじうおは、「うろこがほしいだって?自分を誰だと思ってるんだ、あっちいけ!」と青い魚を追い払いますが、この話は瞬く間に海中に広まり、だれもにじうおに近づかなくなります。
一人になってしまったにじうおは、ヒトデに勧められて、賢いタコに助言を求めます。タコはにじうおに「うろこをみんなに分けてあげなさい。美しさは失われるけれど、幸せになれるでしょう」といいます。
うろこがなくなっても幸せになれるのか考えるにじうおの前に、また青い魚が現れます。にじうおはためらいますが、いちばん小さなうろこをあげることにします。
すると、青い魚はとても喜んでくれ、それを見たにじうおの心に不思議な感情が沸き起こります。にじうおは、集まってきた他の魚たちにも、自分のうろこを次々に分け与え、そのたびにどんどん嬉しくなっていきます。
ついに、にじうおのうろこは一つだけになってしまいました。でも、にじうおは幸せでした。にじうおは、他の魚たちと一緒に仲良く遊びました。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・scale (うろこ)
・shage of (color) (~の色合い)
・shimmering / shimmery (震えてちらちら光る)
・dazzling (目も眩むばかりの、まぶしい)
・pour out ((感情を)吐露する)
・waver (迷う、ためらう)
・playfully (じゃれて、たわむれて)
・whiz (風を切って走る)
・glimmering (ちらちら光る)
・feel at home (居心地がよい)
お気に入り度:★★★★☆
スイス人の著者が書いた「Der Regenbogenfisch」(ドイツ語でThe Rainbow Fish)を英訳して出版された絵本です。日本でも谷川俊太郎さん訳の「にじいろのさかな」としてよく知られています。
この絵本、Amazonや絵本ナビなどのサイトでレビューを見てみると、かなりはっきり賛否が分かれています。
分け合う喜びが伝わってくるというのが肯定派の意見、宝物をあげないと友達になってもらえないってどうなの?というのが否定派の意見のようです。
私はどちらかといえば肯定派寄りですが、うろこを分けてあげることを「与える喜びの象徴」や「友達づくりの手段」だけとは思いません。それは、最初にひどい態度を取ったことへの代償であり、にじうおの反省の手段、改心への第一歩、だったと考えています。もしも、にじうおが最初にもっとソフトな断りかたをしていたら、きっと友達になるのにうろこをあげる必要はなかったでしょう。にじうおはいい勉強をしたと思うので、「うろこをあげて→友達になる」を直結させるのではなく、もう一歩踏み込んで考えたいところです。
うろこの輝きを表現する単語が、sparkling, shimmer(ing), shiny, glittering, shining, shimmery, glimmering, flashing とたくさん出てきて、単調にならないように工夫されていることがわかります。原語のドイツ語がそうなっているのでしょうか。(ちなみに日本語版ではすべて「きらきら」と訳されています)
イラストについては、魚の表情がキモかわいい感じで好みが分かれそうですが、海の中の美しい世界や、幻想的なキラキラのうろこに目を奪われて、眺めるだけで楽しめる絵本だと思います。