Owl Babies -フクロウのこどもたち-
作:Martin Waddell、イラスト:Patrick Benson。
あらすじ
サラ、パーシー、ビルはフクロウの赤ちゃん。木のうろにお母さんフクロウと一緒に住んでいます。
ある夜、目を覚ますとお母さんがいません。
きっと子供たちのために食べ物をとりに行ったのでしょう。
3羽は家から出て、木に止まってお母さんを待ちます。
ネズミを捕ってきてくれるかな、などと話していた3匹ですが、迷ってるのかも、キツネに食べられちゃったのかも、とだんだん不安になり、目を閉じてお母さんの無事を祈ります。
そこへ、お母さんが帰ってきました。
バタバタと踊りまわって喜ぶ子供たちに、お母さんは驚き、「帰って来るに決まってるじゃない」と言うのでした。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・"What's all the fuss?" (「この騒ぎは何?」)
お気に入り度:★★★☆☆
フクロウの絵が迫力満点です。細かい線がびっしり書き込まれたフクロウの羽や木の枝の緻密さは素晴らしいです。
子供たちの会話はいつも、サラが何か言って、パーシーが同意し、ビルは"I want my mommy!"しか言わないという流れです。3羽の関係がこれだけでよくわかります。
会話が簡単なので、英語初心者や小さい子への入門絵本としてもよさそうです。
ところで、アメリカにはフクロウを題材にした絵本がたくさんあります。フクロウは身近な動物なのでしょう。
子供の通う学校でも、5年生の理科でフクロウの勉強に多くの時間が割かれていました。一人1つのペレットが配られて、子供たちはペレット(*)を解剖(?)して、何匹ぶんのネズミの骨が見つかるかなど観察したそうです。骨を部位別に分類して紙に貼り付けたものを持ち帰ったときにはびっくりしました。
(*) ペレット(pellet)... 鳥が獲物を食べた後、消化しきれなかった骨などを口から吐き出したもの。
The Ninjabread Man -ニンジャブレッドマン-
作:C. J. Leigh、イラスト:Chris Gall。
あらすじ
先生の下で忍術を学ぶくま、へび、ねずみ、きつね。
先生は、みんなの頑張りをたたえて、先生の間に代々伝わる特別なごほうびの「ニンジャブレッド」を作ります。そのクッキーには不思議な力が宿ると言われており、また、とてもおいしいのです。
先生が焼きあがりを確かめようとオーブンを開けたとき、ニンジャブレッドマンはオーブンから飛び出し、「生徒たちの力試しをするぞ」と言って、砂糖煙とともに消えてしまいました。
くま、へび、ねずみに戦いを挑むニンジャブレッドマン。
「おまえなんか食べてやる!」と受けて立つ生徒たちでしたが、ニンジャブレッドマンはくまの突撃をひらりとかわし、へびにクッキーの手裏剣を投げ、ネズミの目を欺いて、闇に消えていきます。
最後にきつねに戦いを挑むニンジャブレッドマン。
でも、きつねは「滝の音がうるさくてよく聞こえない。なんだって?」と言って、勝負に乗って来ません。
そこで、きつねに一歩、また一歩と近づくニンジャブレッドマン。
その瞬間、キツネはニンジャブレッドマンをパクリと食べてしまいました。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・sneaky (卑劣な)
・throwing star (手裏剣)
・morsel (一口)
・charge (襲う、突撃する)
・dodge (さっとよける、ひらりとかわす)
・in the blink of an eye (瞬時に)
・spring (すばやく跳ぶ)
・outfox (出しぬく、裏をかく)
お気に入り度:★★★★☆
これは、「純粋に笑える」面白さです。
そして、忍者がテーマで、sensei (先生)、dojo (道場)といった日本語がそのまま使われているので、日本人ならとても親近感のわく内容です。(用語は巻末に注釈で説明あり)。
また、"Ninjabread man"は言わずもがな「Gingerbread man」(クリスマスなどに焼く人型のクッキー)をもじったものですが、ほかにも言葉遊びがたくさん詰まっていて面白いです。
mighty morsel (ガブリと一口で) - mighty mouse (強いねずみ)
snack (おかし) - snake (へび)
outfox (出しぬく) - fox (きつね)
その他、韻を踏んでいる箇所も多いので、声に出して読むと気持ちいいです。(night-moonlight-fight など)
韻を楽しむ系の本は、どうしても単語が難しくなる傾向がありますが、この本はまったくそのようなこともなく英語初級者でも理解できる程度の単語ばかりです。
イラストは、先生の服装や竹藪の感じなどどことなく中国っぽい雰囲気はありますが、物語に合っていてよいとおもいます。ニンジャブレッドマンの顔や服がクッキーのアイシングなのがかわいいです。
A Sick Day for Amos McGee -エイモスさんがかぜをひくと-
作:Philip C. Stead、イラスト:Erin E. Stead。
あらすじ
エイモスさんは、バスに乗って動物園に仕事に行き、仕事の合間にいろんな動物たちを訪ねます。
ゾウとチェスをしたり、カメと競走したり、恥ずかしがり屋のペンギンのそばにそっと座ったり、鼻たれのサイにハンカチを貸してやったり。夜になると、暗いのを怖がるフクロウに本を読んでやります。
ある日、エイモスさんは鼻水やくしゃみが出て悪寒がし、仕事に行けませんでした。
動物たちはエイモスさんが心配でたまりません。
ついに、動物園を抜け出します。
バス停でバスを待ち、エイモスさんがいつも乗る5番バスに乗って、エイモスさんの家へ!
エイモスさんはベッドでゾウとチェスをし、カメとは競走の代わりにかくれんぼをし、ペンギンはエイモスさんの足元にそっと座ります。サイはエイモスさんにハンカチを渡します。
夜になると、フクロウは暗いのを怖がるエイモスさんに本を読みました。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・early riser (早起きの人)
・clang ((鐘などが)鳴る)
・amble (ゆっくり歩く)
・make time (時間を割く)
・have a runny nose (鼻水をたらす)
・pawn (チェスの歩)
・limber up (肩慣らしをする、準備運動をする)
・perch ((鳥が)とまる、腰かける)
・with concern (心配して)
お気に入り度:★★★★★
表紙に貼られた「BEST」シールに惹かれて読んでみました。
(New York Timesの「Best Illustrated Children's Book Awards」を2010年に受賞しているようです。)
読む前は、表紙を見て絵が素敵だなと思いました。おじいさん(エイモスさん)のくたびれ具合がいい感じで、ゾウやペンギンがとても優しい表情で、きっと穏やかな本なんだろうなぁと思って読み始めました。
物語前半は、表紙から予想したとおりの穏やかでちょっと退屈なストーリー。絵がきれいなので絵を楽しむ本だなと思っていたのですが・・・
動物たちが動物園を抜け出すところから雰囲気が一変します。バスを待つ動物たち。バスに乗る動物たち。こんな突飛な展開をいきいきと描く文字のない見開き数ページには、思わず「えー!!」と言ってしまうくらい引き込まれました。
これも、版画で作られた絵の素晴らしさあってのもの。全体的に渋めな色合いなのに、ペンギンがエイモスさんのお見舞いに持って行く風船だけやけに鮮やかな赤だったりと、様々な工夫が散りばめられています。
文章では、動物たちの詳しい描写はないのですが、イラストを見るとどの動物も年を取っていることがわかります。表情だけでなく、色合いが渋いところや、靴下やマフラーを身につけているところなど設定が細かいです。
みんながエイモスさんの家で集合しているのは、お年寄りの会合!という感じで、ほっこりします。
- 作者: フィリップ・C.ステッド,エリン・E.ステッド,Philip C. Stead,Erin E. Stead,青山南
- 出版社/メーカー: 光村教育図書
- 発売日: 2010/08
- メディア: ハードカバー
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She's Not My Real Mother -ほんとうのお母さんじゃない-
作:Judith Vigna。
あらすじ
両親が離婚し、お母さんと暮らしている男の子。週末はお父さんの家で過ごします
お父さんの再婚相手がお父さんと一緒に住んでいるのですが、男の子はその女の人を好きになれません。お母さんではないからです。
日曜日、お父さんの仕事が入ってしまい、男の子は嫌々ながらも、女の人と二人でアイスショーに行くことになります。
アイスショーはピエロやクマが氷の上で芸をするとても楽しいものでした。
でも、男の子はふと思いついて、ポップコーンを買いに行ったときにわざと女の人からはぐれて隠れます。
女の人は男の子を探しまわりますが、そのうちどこかに行ってしまいました。
すぐに戻ってくると思った女の人がなかなか戻ってこないので、男の子は自分が置き去りにされたと思って怖くなります。
そのとき、スピーカーから迷子の案内が。男の子は警備員に「自分のことだ」と言い、女の人の待つ部屋へ連れて行ってもらいました。
そのあと二人は、肩に腕をまわしてショーの後半を見ました。
このことはお父さんには内緒、二人の秘密です。
男の子は、女の人と友達になりました。
でも、お母さんが心配する必要はありません。だって、お母さんは本当のお母さんだから。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・orphan (親のいない子、孤児)
お気に入り度:★★☆☆☆
両親が離婚する子供に、メッセージを伝える本だと思います。
アメリカでは離婚や再婚も多く、また養子も盛んで家族の形が様々なので、家族環境の変化に関する子供向け絵本がたくさんあります。私の利用している図書館にはそういった本の専用コーナーがあるくらいです。
この絵本は、イラストのタッチもやさしくて、登場人物もいい人ばかりなので、あまり重い気持ちにならずに読めます。文章もとても簡単で、3歳くらいの子から理解できるのではないでしょうか。
とても読みやすいのですが、あまり楽しいテーマでもなく、読み返ししたい気持ちになれなかったので、星2つです。
The Summer Nick Taught His Cats to Read -ニック、ネコに字を教える-
作:Curtis Manley、イラスト:Kate Berube。
あらすじ
ニックは飼い猫のベルヌとスティーブンソンといろんなことをして遊びますが、本を読むときだけは、ネコたちは思い思いに過ごすのです。
そこでニックは単語カードを作って、ネコたちに字を教えようとします。でもネコたちは見向きもしません。そこで単語カードを魚や帽子などの形にしてみると、ベルヌだけは興味を示しました。
ベルヌはわらべ歌や魚の絵本も気に入って、どんどん言葉や文字を覚え、ついに自分で本を読めるようになりました。でも、スティーブンソンはまったく興味を示しません。
ニックとベルヌが、絵本の話をまねて花壇で魚の化石を探したり、月面をジャンプする真似をしたりしていたある日、ベルヌはベッドの下でスティーブンソンの描いた海賊の絵をたくさん見つけます。
そこでニックとベルヌはその絵に文字を付けて絵本を作り、スティーブンソンに眼帯をさせて一緒に読んでみました。スティーブンソンは逃げたり怒ったりしませんでした。
ニックは図書館でたくさんの本を借りてきて、ネコたちと海賊ごっこをします。スティーブンソンも加わって、庭で宝探しをしたり、地下室への冒険に繰り出したりもしました。
ニックとネコたちは一緒に絵本を楽しめるようになりました。でも、ニックはだれかに本を読んでもらうことも好きなので、今度はネコたちに文字を声に出して読むことを教えるつもりです。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・have one's own idea (周りに流されない、わがままをする)
・nursery rhyme (わらべうた)
・hiss (シューっという音を立てる、(不満で)シッと言う)
・matey (仲間、相棒)
・"Step lively!" (「急げ!」)
・round up (駆り集める)
・scurvy (卑しい、あさましい)
・mutineer (暴走者、抵抗者)
・curl up with a book (ネコ論で寝転んで丸くなって本を読む)
お気に入り度:★★★☆☆
絵もお話も可愛いです。個人的には男の子の髪形がちょっと気になります。
ネコが文字を覚えて、図書館で本を借りてきて読む、というありえない状況が自然に出てくるので、どこまで受け入れられるかによって楽しめるかどうかが決まりそうです。
(私にはちょっとハードルが高かった。)
単語カードの形でその単語の意味を表す、というのは結構いい方法だな、と思いました。
The Two Bullies -ふたりの力じまん-
作:Junko Morimoto。
あらすじ
そのむかし、日本にニオウという名のとても強い大男がいました。
ある日ニオウは、中国にドッコイという名の強い男がいると耳にし、挑戦しに行くことにしました。八幡様に必勝祈願のお参りに行くと、見知らぬ僧がニオウに「なんでも切れる」というやすりをくれました。ニオウは知りませんでしたが、それこそが八幡様でした。
何日も舟を漕ぎ中国に着いたニオウは、ドッコイの家をたずねましした。あいにくドッコイは出かけていたので、家で待たせてもらいます。
すると、地震のような地響きが聞こえてきました。なんと、何マイルも先からドッコイが帰ってくる足音だというのです。ニオウは勝ち目がないことをすぐに悟り、トイレに行くと言って、トイレの窓から逃げ出しました。
家に帰ってきたドッコイは、巨大な足跡を見て、日本のニオウのものに違いないと理解しました。でもニオウは逃げたあと。
ドッコイは足跡をたどって岸まで追いかけますが、ニオウの舟はもうありません。
そこで、ドッコイはニオウの舟に向かって錨(いかり)を投げます。ニオウの舟の船尾に引っ掛かった鎖を力いっぱい引くドッコイ。
ニオウも頑張って舟を漕ぎますが、舟はどんどん岸に引き戻されます。そのときニオウは僧にもらったやすりを思い出し、鎖にやすりをかけます。なんどもやすりをかけると、ついに鎖は切れました。
こうして、ニオウは日本に帰ることができました。
家に戻ったドッコイは、鎖を引きちぎるほどの怪力のニオウと戦わなくてよかった、と安堵します。
日本に戻ったニオウも、危ないところだった、と胸をなでおろします。
このときから、中国では重いものを持ち上げるときに「ニオウ!」と言い、日本では「ドッコイ、ショ!」と言うようになったということです。
また、八幡さまに感謝して、神社の入り口には仁王像が建てられるようになったということです。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・bully (ガキ大将)
・proclaim (宣言する)
・file (やすり)
・heave (重い物を持ち上げる、放り投げる)
・stern (船尾)
・haul (ひっぱる、たぐる)
・rasp (やすり)
・rip (引き裂く)
お気に入り度:★★★☆☆
日本人作家が書かれた英語絵本です。日本の内容なので、日本語版も出版されているかと思いましたが、見つけられませんでした。
迫力のあるイラストが、物語とよくマッチしています。大男を下から見上げた絵や、逃げていくニオウを空から見下ろしている絵など、アングルがいろいろで絵本の中の世界が360度見えるようで楽しいです。
文章も比較的簡単で、物語の展開が早くて飽きません。小さい子への読み聞かせにもよいと思います。
Swimmy -スイミー-
作:Leo Lionni。
あらすじ
赤い魚の群れの中でただ1匹の黒い魚、スイミー。スイミーはだれよりも速く泳げました。
ある日、凶暴な大きな魚がやってきて、赤い魚たちを飲み込んでしまいます。逃げられたのはスイミーだけ。
スイミーは一人さびしく海の中を泳ぎましたが、美しいものでいっぱいの海の中を泳ぐうちに、次第に元気になってきました。
そして、スイミーは岩や海藻のかげに隠れている魚の群れを見つけます。スイミーは一緒に遊ぼうと誘いますが、群れは大きな魚が怖くて出てこられないのです。
でも、いつまでも隠れているわけにもいきません。スイミーは考えます。
そして、みんなで集まって1匹の魚のように泳ぐことを考えました。
スイミーはみんなに教えます。くっついて、けして持ち場を離れないことを。黒いスイミーが目になります。
そして、ついに大きな魚を追い払ったのでした。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・mussel (ムラサキガイ)
・fierce (獰猛な、凶暴な)
・marvel (驚異、驚くべきこと)
・medusa (クラゲ)
・walk about (目標なく歩き回る、散歩する)
・"I have it!" (「わかった!」)
お気に入り度:★★★★☆
小学校の教科書でも おなじみ、「スイミー」の原語版。
アメリカ人の友人に「日本人ならみんなこの話を知ってる」と言うと、びっくりされました。アメリカではさほど有名でもないようです。また、アメリカの小学校には「教科書」というものがないので、「誰もが知っている物語」があること自体が驚きだったようです。
さて、私の小さい頃のスイミーの記憶は「黒いスイミーが目になって、みんなで泳ぐ話」でした。
数年前に、子供が小学校(日本)でスイミーの劇をやるのを見て、クラゲとかイセエビとかウナギが出てくることを認識したくらいで、正直エンディング以外はあまり覚えていなかったのです。
でも、絵本を見てイメージが変わりました。スイミーが海で出会うひとつひとつの生き物の不思議さ、素晴らしさが丁寧に描かれていて、とても印象深いのです。イラストも、1つ1つの生き物を見開きで大きく描いてあり訴えかけてくるものがあるし、文章も、体言止めというのか、短い文章で力強く書かれています。
たとえば:
strange fish, pulled by an invisible thread...(不思議な魚たち。見えない糸にひっぱられているよう。)
教科書だとどうしても文章メインで、イラストは挿絵程度になってしまうので、絵本とはずいぶん印象が変わるのでしょう。
調べてみたところ、スイミーは原作者の意図と違う解釈がされてしまった本ということで有名みたいです。
作者が込めた真のメッセージとは? 名作絵本『スイミー』の真相 [子育て事情] All About
結構間違って解釈されている、絵本『スイミー』の話。絵本の本当に伝えたい事をわかるには…?|男性保育士こんなかんじでやってます
日本語版は谷川俊太郎さんの翻訳。原作に忠実ではあるのですが、言葉の選び方、文章の切り方、倒置法の使い方など、とてもセンスがあって、原作よりも日本語版の方がテンポよく読め、ドラマチックに感じます。
たとえば:
(英語) Swimmy thought and thought and thought.Then suddenly he said, ~
(日本語) スイミーは考えた。いろいろ考えた。うんと考えた。それから、とつぜん、スイミーはさけんだ。
イラストは安定の美しさ。さすがレオ・レオニです。
小さい赤い魚たちがゴム判をたくさん押した感じで表現されて雑魚感がよく出ていているのが、なんとなくツボです。
The Mitten -てぶくろ-
作:Jan Brett。
あらすじ
ニッキは、おばあさんに真っ白な手袋を編んでもらいました。
でも、ニッキはすぐに手袋を雪の中に落としてしまったのです。
そこへモグラがやってきて、暖かくて心地のいい手袋を住み家にします。
雪ウサギもやってきてもぐりこみます。
ハリネズミも、フクロウも、アナグマも、キツネも、次々にやってきて手袋に入ります。そんなスペースはないはずですが、新たな客の鋭い針やツメなどを見ると、先客はスペースを空けてしまうのです。
ついにクマまでやってきました。
さいごにドブネズミがやってきてクマの鼻に上ったとき、クマはネズミのひげがくすぐったくて大きなくしゃみをしました。
その勢いで動物たちは手袋から散り散りに飛び出し、手袋は宙に舞い、それをニッキが見つけました。
手袋が見つかったおかげで、ニッキはおばあさんに叱られずにすみました。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・sound (健全な、安全な)
・mole (もぐら)
・jostle (乱暴に押す)
・prickles *1" src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/5121X5P6GSL._SL160_.jpg" alt="てぶくろ (ウクライナ民話 ラチョーフ・シリーズ 1) (ウクライナ民話/ラチョーフ・シリーズ (1))" />
てぶくろ (ウクライナ民話 ラチョーフ・シリーズ 1) (ウクライナ民話/ラチョーフ・シリーズ (1))
- 作者: エヴゲーニイ・ラチョーフ,田中潔
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- 作者: アルビントレッセルト,ヤロスラーバ,Alvin Tresselt,Yaroslava Mills,三木卓
- 出版社/メーカー: のら書店
- 発売日: 2005/11
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*1:動植物の)針、とげ)
・commotion (騒動)
・swoop down (空から舞い降りる、急襲する)
・glinty (きらめく)
・badger (アナグマ)
・waft (漂う香り)
・muzzle (犬などの鼻づら)
・drowsy (眠そうな)
・lumber (ドシンドシンと歩く)
・plump up (ゆすって圧縮する)
・bulge (膨らむ)
お気に入り度:★★★★☆
ウクライナの有名な民話です。日本でも、いろんな作家さんのバージョンが出版されています。
この本は、各ページの見開き中央にメインの絵があって、その左右に手袋を探すニッキとか、次に手袋にやってくる動物とか、別シーンの絵がサブで書かれているのが楽しいです。サブ絵の上下の飾り絵もおしゃれで、異国っぽい雰囲気がとてもいいです。
あまりやさしくなさそうなおばあさんの表情とか、手袋の中で身を寄せ合う動物たちの様子とか、丁寧に描かれていて素敵です。
てぶくろ―ウクライナ民話 (世界傑作絵本シリーズ―ロシアの絵本)
- 作者: エウゲーニー・M・ラチョフ,うちだりさこ
- 出版社/メーカー: 福音館書店
- 発売日: 1965/11/01
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The Little Lost Robin -ウサギとこまどり-
作:Elizabeth Baguley、イラスト:Tina Macnaughton。
あらすじ
森のはずれに、年老いたウサギが住んでいました。ウサギは毎日鳥たちに餌をやりに出かけました。そこでウサギは、胸の赤いこまどりに出あいます。
秋がきて、鳥たちが暖かい場所へ飛び立っても、こまどりはもみの木に留まっていました。ウサギはこまどりと木の実や種を分け合い、こまどりの歌を聞いて過ごしました。
冬になって木々が凍てつきウサギの脚が動かなくなると、こまどりがウサギのところに飛んできて一緒に食事をしました。
しかし、吹雪が来た次の朝、こまどりはどこにも見あたりません。
ウサギは雪の中を、こまどりを探しに出かけました。こまどりの巣があったもみの木は倒れていて、巣は空っぽでした。
そのとき、こまどりがウサギのところに飛んできました。ウサギはこまどりの巣をウサギの住み家の近くに移すことにします。こまどりを肩に乗せ、もみの木を引きずって家に向かいます。
家のそばにもみの木を立ててこまどりの新しい巣をつくったウサギは、毎日こまどりの歌を聞いて、楽しく踊るのでした。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・prance (後ろ脚で踊り跳ねる、跳ねまわる)
・swoop (空から舞い降りる、急降下する)
・prick up (ピンと立つ、上に向く)
・lilt (軽快に歌う)
・fir (もみの木)
・blustery (荒れ狂う)
・blast (撃つ)
・splinter (裂く)
・biting ((寒風などが)身を切るような、ひりひりする)
・wrench (ねじる)
・hump (丸い丘)
・hollow (くぼみ)
・warble (さえずる)
お気に入り度:★★★★☆
年老いて体がだんだん動かなくなってきたおじいさんウサギが、こまどりを探しに雪の中へ出かけたり、重そうなもみの木を運んだりする姿に、ぐっときます。
柔らかなタッチのイラストと相まって、やさしい気持ちにさせてくれる1冊です。
秋の草木の様子や、雪の寒さや柔らかさなどが伝わってくる、素敵なイラストです。
アメリカで読んだ絵本には、Hare(ノウサギ)が出てくるものがたくさんあります。Hareはrabbitと違って、後ろ足で立ったりするので、擬人化した描写をしやすいのかもしれません。写真で見るHareは野性的で強そうでちょっと怖いのですが、イラストで見るHareは可愛いです。
The Little House -ちいさいおうち-
作:Virginia Lee Burton。
あらすじ
静かな田舎に建てられたちいさいおうち。デイジーやリンゴの木に囲まれ、いつも時間や季節の移り変わりを感じて幸せでした。夜になると遠くの街灯りを見て、都会はどんな所かと思いを馳せるのでした。
時が経ち、小さいおうちの周りに道路ができます。道路の周りにはガソリンスタンドや家などが建ち、大きなビルや学校やお店などがぎっしりと建ち並びました。
さらに時がたつと、小さいおうちの周りにはトロリーや電車が走るようになります。空気も汚れ、騒音もひどくなり、季節もわからなくなりました。地下鉄もでき、高層ビルも建ち並び、人々はちいさいおうちに目もくれずに慌ただしく過ぎ去ります。きれいなおうちはすっかりみすぼらしくなりました。
ある日、ちいさいおうちを作った人のひ孫のそのまた娘さんがやってきて、ちいさいおうちを田舎に移動させることにします。
大きな道、小さな道を超えて、鳥たちの歌う緑の草原にちいさいおうちはやってきました。壁もきれいに塗りなおされ、季節を感じ、家の手入れもしてもらえるようになって、平和な時間が訪れました。
英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~
・thin old moon / thin new moon (欠けていく細い月 / 新月のあとの細い月)
・way off (離れた、遠くに)
・in the distance (はるか向こうに)
・swell (膨れる)
・brook (小川)
・coast ((そりなどで)滑走する)
・surveyor (測量者)
・dump (どさりと下ろす)
・tenement (借地、借家)
・elevated train (高架を走る電車;elevated=高い)
・tear down (取り壊す)
・crookedly (曲がって、歪んで)
・shabby (みすぼらしい)
お気に入り度:★★★★★
石井桃子さんが翻訳した「ちいさいおうち」の原作。最初の出版が1942年なので、かなりのロングセラーです。
日本の図書館で日本語版を見かけたとき、表紙が可愛くて気にはなったのですが、子供には退屈かと思ってちゃんと読んでいませんでした。文章量も多めだし、イラストも家の周りの風景ばかりだからです。
今回はじめて子供に読み聞かせてみると、おうちの表情(?)がどんどん変わっていく様子に気づき、「さっきまでにっこりしてたのに悲しい顔になってる!」と食い入るように見ていました。(私は字を追うのに一生懸命で、家の絵が顔になっていることにすら気づきませんでした・・・)
文章が全部理解できなくても、イラストを見るだけで十分に内容が伝わってきます。季節の移り変わりや、町の変わっていく様子が見事に描かれています。
「都市開発によって便利さと引き換えに失われるもの」について問題提起している本で、一部の読者には「都会は悪だという決めつけ」が不評のようです。
しかし、この本は、「都会はダメだ」などと一切言っていません。単に、車がたくさん通る、とか、高い建物に囲まれて真昼だけ頭上に太陽が見える、とか、街が明かるくて夜も星が見えない、という事実を伝えているだけです。(わずかに一文、「小さいおうちは都会に住むことが好きではなかった」と、あくまで小さいおうちの主観として都会の感想を述べている箇所があります。)
だからこそ、読み手にいろいろと考えさせるのかもしれません。
- 作者: ばーじにあ・りー・ばーとん,いしいももこ
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1965/12/16
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