アメリカえほん記

アメリカで読んだ英語絵本の記録です。

Pumpkin Soup -かぼちゃスープ-

作:Helen Cooper。

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あらすじ

森の奥の白い小屋で、ネコ、リス、アヒルはかぼちゃスープを作ります。ネコがかぼちゃを切り、リスがかき混ぜ、アヒルが塩を入れます。

それぞれが自分の仕事をし、みな幸せでした。

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でもある日、早起きしたアヒルが「きょうはぼくがスープをかき混ぜる!」と宣言したことから大げんかになり、アヒルが家出してしまいます。

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どうせすぐ帰ってくるよ、というネコとリスをよそに、お昼になっても夕方になってもアヒルは戻りません。

その日のスープは塩が多すぎておいしくありませんでした。

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ネコとリスは、アヒルにスープをかき混ぜさせてあげればよかったと後悔し、夜の森にアヒルを探しに出かけます。でも見つけられず、とぼとぼと家に帰ると、家に明かりがついていました。

3匹は再会を喜び、カボチャのスープを作りました。アヒルがスープを混ぜます。どんなにこぼれてもネコとリスは文句を言いません。アヒルはリスに塩加減を教えてあげ、おいしいスープができました。

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英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・slurp (音を立てて食べる)

・tip (先端)

・draw up (まっすぐ立たせる、引き上げる)

・trot (早足で駆ける)

・snap (パチンと鳴らす)

・with all one's might (力いっぱいに)

・bop (殴る、叩く)

・row (大げんか、口論)

・racket (騒ぎ)

・storm (怒鳴り散らす)

・scoff (嘲笑う、ばかにする)

・sobb (すすり泣く)

・trudge (てくてく歩く)

・plod (とぼとぼ歩く)

・shriek (金切り声をあげる)

 

お気に入り度:

知らない単語が多くて、難易度が高かったです。

日本語なら「てくてく歩く」も「とぼとぼ歩く」も、どちらも「歩く」という動詞で表されますが、英語は同じ動作でも様子によって別の動詞が使われているので、覚えるのが大変です。

シーンごとに細かなイラストがたくさん書かれているので、イラストを見れば単語を知らなくてもある程度は内容が理解できます。絵本の利点ですね。

 

イラストの色合いも素敵です。家の中の暖かい灯り、秋の外のすがすがしさなど、空気感が伝わる素晴らしい描写です。ネコ、リス、アヒルの擬人化の具合が絶妙で、とってもかわいらしいです。

 

タイトルの字体や表紙の禍々しい雰囲気から、ハロウィンの絵本なのかと思ったのですが、全然違いました。でも秋の絵本、しかもパンプキンなので、ハロウィンシーズンに読むのにぴったりだと思います。

 

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Mr. Gumpy's Outing -ガンピーさんのふなあそび-

作:John Burningham。

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あらすじ

 川のそばに住むガンピーさん、小舟でおでかけです。

子供が一緒に行きたいというので、ケンカをしない約束で船に乗せます。

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ウサギがやってきて、飛び跳ねない約束で船に乗せます。

ネコがやってきて、ウサギを追いまわさない約束で船に乗せます。

犬、ブタ、羊、ニワトリ、子牛、ヤギも、それぞれにお約束をして仲間に入ります。

 

でも、しばらくするとみんなが禁止されていたことをし始めて、小舟は転覆。

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みんな泳いで岸に上がり、太陽の下で体を乾かします。そして家まで歩いて帰って、みんなでお茶の時間です。

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英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

 ・squabble (つまらないけんか、口論)

・tease (いじめる、からかう)

・muck (肥料をやる;(動物に対して使うと)糞をする)

・bleat (メーと鳴く)

・calf (子牛)

・trample (踏みつける)

 

お気に入り度:☆☆

「やるなよ」と言われていることをみんなやってしまう、という、漫才チックなストーリーですが、ガンピーさんも怒っている様子でもなく、みんなハッピーなのがほっこりしてとてもいいです。

 

短い簡単な文章で構成されているので、小さいお子さんでも英語初学者でも抵抗なく読めます。

 

仲間に入れてほしいときの言い回しが全員違うので、こんな表現もあるのか、とためになりました。

「一緒に行ってもいい?」="May I come with you? "、"Can I come along?"、"May I come, please?"、"Can we come, too?"、"May I join you?"

「乗りたいな」="I'd like a ride."

「乗せてもらえる?」="Will you take me with you?"

「わたしの乗れる場所ある?」="Have you a place for me?"、"Can you make a room for me?"

 

日本語版は「ガンピーさんのふなあそび」。日本でもロングセラーの人気作品です。

原作のタイトルは「Outing(遠足)」ですが、日本語版では「おでかけ」と訳さずに「ふね」を明示したのは、内容に合っていて素敵だと思いました。

 

この本が長く愛されている理由は、何といってもイラスト。

細かくペンで書き込まれたモノクロのイラストと、クレヨンや絵の具、ペンなどを使って鮮やかに描かれたカラーイラストが見開きで出てきます。どのページを切り取っても素敵な絵ハガキになりそうです。

 

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ガンピーさんのふなあそび (海外秀作絵本)

ガンピーさんのふなあそび (海外秀作絵本)

 

 

 

Dog In Charge -るすばんわんこ-

作:K. L. Going、イラスト:Dan Santat。

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あらすじ

買い物に出かける飼い主から、家でネコたちが悪さしないよう見張りを頼まれたわんこ。5匹の猫たちは、行儀よく一列に並んで座っています・・・と思ったら、飼い主が出かけた途端にいなくなりました。

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キッチンで、リビングルームで、寝室で、浴室で、わんこがネコたちを見かけるとネコたちは逃げて行きます。キッチンの床はミルクまみれ、リビングは暖炉の灰まみれ、寝室は毛布で、浴室は洗濯ものとおしろい粉でぐちゃぐちゃ!

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5匹の猫たちは、その後も植木ばちをひっくり返したり、本を本棚から落としたり、家じゅうはもうめちゃくちゃです。

そこでわんこは、ネコたちに食べ物を与えることを思いつきます。でも、そのにおいを嗅いだとたん、お腹のすいたわんこはネコたちの餌を夢中で全部食べてしまい、家の片づけもせず眠ってしまうのです。

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そこへネコたちがやってきます。ネコたちは、床をなめてミルクやキャットフードをきれいにし、リビング床を掃除し、寝室を整え、浴室を整理します。それからわんこと一緒に眠りました。

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飼い主の車の音。どうしよう!と目を覚ましたわんこ。

でも、飼い主はわんこを抱きしめ、いい子ね、とたくさんのおやつをくれました。

わんこはネコたちを見て、「いい子だ」と思いました。

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英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・the very best (この上ない)

・bustle (忙しそうに動く)

・hustle (乱暴に押す)

・bustle and hustle (押し合いへしあい;hustle and bustleの方が一般的?)

・eye ((動詞)じろじろ見る、注意深く見る)

・hamper (洗濯かご)

・crumb (パンなどのくず)

・neaten (きれいにする、きちんとする)

・straighten (整頓する)

 

お気に入り度:★★★

いたずらネコたちに振り回されるわんこ。わんこをおちょくるようでありながら、最後には自分たちできちんと片づける賢いネコたち。それを見事に表現する色鮮やかなイラスト。最高です!

 

絵本というよりはアニメでも見ているような楽しさです。見開きページの中にいくつかの場面がコマ割りで表現されているのが、ちょっと漫画っぽいからかもしれません。

 

ネコたちがいたずらする場面で、たくさんの擬音語が出てきます。

Splash (パシャン:ミルクをこぼす場面)、

Swish (ヒュッ:灰を撒き散らす場面)、

Fwomp (バサッ:毛布をひるがえす場面)、

Kerplooie (ドスン:洗濯かごを倒す場面)、

Poof (フッ:パウダーを噴き上げる場面)

Bonk (ボンッ:植木ばちが倒れる場面)、

などなど・・・擬音語は辞書に出てこないものも多くてKerplooieは読み方すらよくわかりませんが、なんとなく響きからイメージできるものも結構あって面白いです。

 

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Elmer -ぞうのエルマー-

作:David McKee。

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あらすじ

 ゾウの群れの中で、エルマーだけが違う色。黄色やオレンジや赤などのパッチワークカラーなのです。そしてエルマーは他のゾウたちを笑わせるのが得意でした。

でもエルマーは、自分の色が笑われているように感じ、ある朝こっそりベリーを探しに出かけます。

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そのベリーはゾウと同じ色をしています。エルマーは木の枝を揺すってベリーを落とし、その上を転がります。鼻でベリーの房を持ちあげ、体にこすりつけます。

そして、エルマーは他のゾウと同じ色になったのです。

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ゾウの群れに戻ったエルマー。誰もエルマーだと気づきません。エルマーは静かなゾウたちを笑わせたくなり、大声で鳴きます。みんな驚いてひっくり返り、笑い出しました。

「エルマーがここにいたら一緒に笑えるのに」

そのとき突然土砂降りになり、エルマーは洗い流されて元の色に戻ります。

「エルマーだったのか!こいつは面白い冗談だ」

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みんなはこの日を「エルマーのいちばんおもしろいジョークの日」として、毎年祝うことに決めます。

みんなはエルマーの色に、エルマーは普通のゾウの色に変身して。

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英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・slip away (そっと立ち去る)

・no wonder (どうりで、それもそのはず)

・helpless with (~のせいでどうしようもない)

・cloud burst (突然のどしゃ降り、集中豪雨)

 

お気に入り度:

日本でも人気の「ぞうのエルマー」の原作本です。

 

パッチワークのゾウという設定が楽しいです。

でも、他のゾウと違うことを嫌がってみんなと同じにしようと努力する、というのが、人間社会での同様な状況をうかがわせて、考えさせられる内容でもあります。

 

水彩絵の具っぽい淡い背景と、色鉛筆っぽい(普通の)ゾウの質感、そして鮮やかなエルマー。よく見ると、色の塗り方がすごく手が混んでいて、見ていて飽きません。

ロングセラーなのがうなずける良本です。

 

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ぞうのエルマー〈1〉ぞうのエルマー (ぞうのエルマー (1))

ぞうのエルマー〈1〉ぞうのエルマー (ぞうのエルマー (1))

 

 

 

 

 

The Dark at the Top of the Stairs -かいだんのてっぺんのくらやみ-

作:Sam McBratney、イラスト:Ivan Bates。

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あらすじ

 地下室の角に住む年寄りネズミは、ある晩、若いネズミたちに、明日は何をしたいかと尋ねます。

3びきの若いネズミたちは、モンスターが住んでいるという階段の上の暗がりを見に行きたいと言います。

年寄りネズミはためらいますが、どうせそのうち行くことになるだろうと思い、次の日の朝早くに出発します。

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3びきのネズミたちは、「モンスターのことは話さないように」と言い合いながら、階段を登っていきます。

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モンスターはどんな形をしているのでしょう?

階段を最後まで登りましたが、そこにはモンスターはいません。

そこで、光の差し込むドアの隙間に向かって進んでみると、ゆっくりと影がネズミたちの方へ向ってきて・・・

「ニャァ」

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3びきのネズミたちは大慌てで階段を転げるように逃げ帰りました。

そして、その後は階段の上の暗闇について話すことはありませんでした。

 

英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・cellar (地下室、穴蔵)

・seedhead (草の上部の種がついている部分)

・sooner or later (遅かれ早かれ、いずれは)

・cobweb (クモの巣)

・dare to (思い切って~する、あえて~する)

・wriggle (身をよじる、のたうつ)

 

お気に入り度:★★

ネズミの目線で書かれたイラストが素敵です。

地下室から1階へと向かう階段の埃っぽくてごちゃごちゃした感じ、暗い地下から1階のドアを開けたときの明かりの感じなど、かなりリアルです。

 

結末はなんとなく想像がつくのですが、それでも子ネズミたちのドキドキしている感じがしっかりと伝わってきて、セリフ部分をひそひそ声で読んでみると楽しいです。

 

文字がかなり大きめなので、紙面で文章の占める割合は大きいのですが、文章量はそこまで多くないと思います。小学校に上がる前くらいから楽しめそうです。

 

古い演劇作品に、同タイトルのものがあるようですが、何か意図があるのでしょうか。(知っている人はくすりと笑える、とか?)

 

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Harold and the Purple Crayon -はろるどとむらさきのくれよん-

作:Crockett Johnson。

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あらすじ

 ある日、ハロルドは月夜の散歩に出かけることにします。

むらさきのクレヨンで月を描き、道を描き、出発します。

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木を描き、リンゴを守るドラゴンを描き・・・

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海に落ちそうになるとボートを描き、帆を描いてヨットで旅して、お腹がすくとパイを描いてピクニックです。パイが余ればヘラジカやヤマアラシを描いて食べさせます。

 

気球に乗って家に帰ろうとしたハロルド。家の窓が見つからず、たくさんの窓を描いてみたものの、どれも自分の家ではありません。

そこで、自分の部屋の窓から月が見えていたことを思い出し、窓とベッドを描いて自分の部屋に戻ってきました。

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英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・go to waste (廃れる、無駄になる、腐る)

・deserving (値する、援助を受けるべき)

・keep one's wits (気を付ける)

 

お気に入り度:★★★

イラストは、紫のクレヨンで書かれた線と、白黒のハロルドだけ。非常にシンプルな作品ですが、ハロルドの賢さや行動力には「生きる力」を強く感じ、読み終わった後は清々しい気持ちになります。

ハロルドの服装がとても小さな子供(2歳くらい)に見えるので、行動とのギャップが感じられて面白いです。

 

ページ数は多いですが、文章量は少なく、また1文が短いので、読みやすいです。イラストだけ見てもストーリーが理解できるので、小さい子供への読み聞かせにも最適だと思います。

 

それにしても、クレヨン1本でこれだけの世界を作ってしまう作者の想像力には、ただただ感服です。

 

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はろるどとむらさきのくれよん (ミセスこどもの本)

はろるどとむらさきのくれよん (ミセスこどもの本)

 

 

 

A Fine, Fine School -みんなのすきな学校-

作:Sharon Creech、イラスト:Harry Bliss。

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あらすじ

学校が大好きなキーン校長。素晴らしい生徒たちに素晴らしい先生たち。なんていい学校なんだろう!

そこで、キーン校長は土曜日も登校日にすることに決めました。それから、日曜日も、祝日も、夏の間もずっと・・・。

キーン先生は、生徒がどんなにたくさん学べただろうと満足げ。でも、先生も生徒も休みたいのです。が、校長先生には言えません。どんどん暗い表情になっていく生徒たち。

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夏休みが始まるはずの日、登校したティリーは校長先生の部屋に行きます。学校の素晴らしさを語る校長先生に、ティリーは言います。

「みんなが学べているわけじゃない。(私が学校に行くと)私の犬のビーンズはお座りやジャンプを覚えられないし、私の弟はブランコやスキップを覚えられません。私も、木登りのしかたを覚えたり木にずっと座って過ごすことができません。」

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その日、キーン校長は学校内を歩いて生徒や先生たちの様子を見てみます。

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次の日、全員を集めた校長先生。さらに学校を多くするのかと心配する子供たち。

でも、違いました。

「土日や祝日、夏の間は休みにします!」

 

英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・fort (とりで、城塞)

・soar up (急に上がる)

 

お気に入り度:

だんだん不満顔になっていく子供たち。イラストからその心情が伝わってきて、ニコニコ顔の校長先生との対比がおもしろいです。

 

イラストには小ネタがたくさんあって、なぜか2足歩行の飼い犬ビーンズは、コーヒーを飲んだり眼鏡をかけて新聞を読んでいたりするし、教室に貼られた掲示や本のタイトルなど細かな部分にクスッと笑えることが書いてあって、すみずみまで見るととても楽しいです。

 日本でも、「みんなのすきな学校」のタイトルで翻訳版が出版されているようですが、イラストに書かれた手書きの英語も日本語に訳されているのかな?とちょっと気になります。

 

そして、この絵本、アメリカの小学校生活がすごくリアルに伝わってくるのにも注目です。

第一に、表紙の裏側がComposition bookの模様になっています!Composition bookは、アメリカでものすごくポピュラーなノートで(日本でいうキャンパスノートみたいな・・・?)、表紙は白黒のまだら模様。小学生はみんな使っています。

第二に、スクールバス。私は乗ったことありませんが、わが子から聞いた情報(3人掛けシートで、子供たちはおもちゃとかで遊んでいるらしい)とぴったり合ってます。

最後に、学校。レンガ造りの建物、バックパックを背負ったいろんな人種の子供たち、雑然とした教室。自由な様子がよく伝わってきます。

調べたところ、イラストレーターさんの出身地が、私が今住んでいる場所だったので、だから特にこのあたりの小学校と雰囲気が似ているのかもしれません。

 

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みんなのすきな学校 (講談社の翻訳絵本)

みんなのすきな学校 (講談社の翻訳絵本)

 

 

Guess How Much I Love You -どんなにきみがすきだかあててごらん-

作:Sam McBratney、イラスト:Anita Jeram。

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あらすじ

 小さなウサギは、大きなウサギに「どれだけぼくがきみのことを好きだか当ててごらん」と言って、両腕を開いて「これくらい」と言ったり、両手を上に伸ばしたり、逆立ちしたり、ジャンプしたりしてその大きさを伝えようとします。

大きなウサギは、そのたびに、大きな体をめいっぱい使って「ぼくはこれくらい」と小さなウサギのまねをします。

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そのうち小さなウサギは眠くなってきます。「月まで行くくらい好きだよ」

そして目を閉じる小さいウサギ。

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大きなウサギは小さなウサギをそっとベッドに寝かせ、キスをします。

「ぼくは月に行って戻ってくるくらいだよ」

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英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・lean over (かがみこむ、乗りかかる)

 

お気に入り度:

 お互いがどんなに相手のことが好きか話す、というストーリーは、母と子が描かれた絵本では何冊か見たことあります。が、この本ではおそらく父と子です。(Big Hareのことをheと表現してあるので、少なくとも母ではない)

「好き」の大きさを競い合う場面は、ありがちですが、やり取りが目に浮かぶようでほっこりします。

 

この本で私の一番お気に入りのシーンは、最後にお父さんが眠くなった子供を抱き上げ、草むらにそっとおろしてキスをするイラストです。なんて素敵なんでしょう・・・。

 

日本語版では「デカウサギ」と「チビウサギ」と訳されていますが、チビの方はともかく「デカウサギ」ではあまりに情緒がなく、ちょっと残念です。訳し方難しいですね。

 

また、「ウサギ」と訳されていますが、原作はrabbitではなくhareです。

Arctic Hares (ホッキョクウサギ)」や「Rabbit (うさぎ)」の本で、hareとrabbitの違いを学びましたが、hareはrabbitよりも足が長く野性的で、両足で立って両手で殴り合いのケンカをしたりもするそうです。

チビウサギとデカウサギがジャンプしたり、デカウサギが二本足で立ってチビウサギを抱き上げたりしているイラストは、まさしくhareです。

 

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どんなにきみがすきだかあててごらん (児童図書館・絵本の部屋)

どんなにきみがすきだかあててごらん (児童図書館・絵本の部屋)

 

 

Milo and the Magical Stones -ミロとまほうのいし-

作:Marcus Pfister。

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あらすじ

 海に浮かぶ島に大きな岩山があり、そこには崖ネズミたちが住んでいました。

ある日ネズミのミロは、岩の隙間に輝く石を見つけ、すみかに持ち帰ります。

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その石は明るいだけでなく温かくて、他のネズミたちもその石を欲しがり集まってきます。

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みんなで取りに行こうとしたとき、賢いネズミのバルタザールが「その石は島のものだから、取るのだったら変わりのものを置いてこないとダメだ」と忠告します。

 

(ここから紙面が上下に分かれ、Happy Ending と Sad Ending の2つの結末に向けて別々の物語が進行していきます。)

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Happy Ending -幸せな結末-

忠告を聞いたネズミたちは、きれいな石を取ったところに、代わりに別の石を置くことにします。浜辺で石を拾い集めるネズミたち。拾った石には彫り物や飾りを施します。

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ミロの案内で光る石を取りに行ったみんなは、変わりの石を置き、少しずつ石を住みかに持ち帰ります。おかげで、冬でもほら穴は明るく暖かくなりました。

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Sad Ending -悲しい結末-

ミロ以外のネズミは忠告を聞きません。競って光る石を集め、自分が一番だと自慢し合います。

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しかし、きれいな石がほりつくされた岩山はすっかり空洞になってしまいました。

もろくなった岩山は、嵐と高波でくずれてしまったのです。

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唯一崩れずに残ったほら穴には、ミロとバルタザールだけが残されたのでした。

 

英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・pound (強く打つ)

・huddle (群がる)

・creep out (這い出る)

・poke into (せんさくする、調べる)

・crevice (狭く深い割れ目)

・pry out (探り出す)

・give off (発する、放出する)

・in return (見返りに)

・chip away *1" src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51AF0Q38DAL._SL160_.jpg" alt="ミロとまほうのいし (世界の絵本(新))" />

ミロとまほうのいし (世界の絵本(新))

 

 

*1:木・石などを)少しずつ削る)

・snuggle (気持ちよく横たわる)

・tribute (ささげ物、贈り物)

・heed (心に留める)

・be consumed with ((しっと・憎悪などが)心に食い入る)

hollow out (えぐって穴をあける、内部を取り除く)

・boulder (丸石、大石)

・a heap of (…の山)

・rubble ((石・れんがなどの)破片、瓦礫)

・crouch (かがむ、しゃがむ、うずくまる)

 

お気に入り度:

やけに本が縦長なのは、途中から上下にストーリーが分かれているためなのです。

二つの物語が楽しめて、お得感があります。

 

言いつけを守ったネズミたちは幸せになり、守らなかったネズミたちは悲しい最期を遂げるという、わりかし説教めいた本ではあります。

 

The Rainbow Fish (にじいろのさかな)」と同じ作者の本で、「にじいろ~」と同様にキラキラ光る特殊加工がされていてとてもきれい。手元において眺めたくなる素敵な絵本です。

 

賢いネズミのBalthazar(バルタザール)、変わった名前だなと思ったのですが、イエスに贈り物を届けた賢者の一人の名前だそうです。

 

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Rotten Ralph Helps Out -あくたれラルフのおてつだい-

作:Jack Gantos、イラスト:Nicole Rubel。

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あらすじ

セイラは学校で古代エジプトについて学ぶプロジェクトの真っ最中です。

ラルフと一緒に図書館に調べ物をしに行きます。

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ラルフはピラミッドの本を読んで本でピラミッドを作ったり、ネコのミイラの本を読んで怖くなって本棚の上によじのぼったり、エジプト人の文字を壁に書いたりして、図書館から追い出されてしまいました。

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家に帰ったセイラは、ラルフに手伝ってもらってエジプトのボートを作ることにしました。でも、ラルフはバスタブから水をあふれさせて、廊下まで水浸しです。

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セイラが砂漠とオアシスを作ろうとすると、ラルフは砂を部屋中にまき、虫コレクションをセイラの服にぶちまけて、セイラを怒らせます。

 

セイラはラルフが寝た後で、クレオパトラとネコの模型を作ることにしました。針金で形を作り、表面に紙を貼ります。色塗りは次の日にすることにして、セイラベッドに入りました。

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次の日、朝早く起きたラルフはセイラの作品に色を塗ります。クレオパトラをめちゃくちゃにされたセイラは怒ります。ラルフは反省し、何やら熱心に作業します。戻ってきたセイラはラルフを見て大喜び。ラルフはスフィンクスのように着飾っていたのです。

 

セイラはラルフをつれて学校へ行きます。みんなも大喜び。

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 帰りにセイラはラルフのご褒美を買いにキャンディーショップへよります。キャンディーもエジプト人の発明なのですって。 

 

英語学習者の視点から~覚えた単語や言い回し~

・help out (助けてやる、手伝う)

・moldy (カビ臭い、古くさい)

・burp (げっぷをする)

・litter box (ネコ用トイレ)

・chariot ((古代ギリシャ・ローマの)二輪戦車)

・tomb ((墓石のついた立派な)墓)

・scaredy-cat (臆病者)

・"behave!" (「行儀よくしなさい!」)

・adoring (崇拝している)

・wheelbarrow (手押し一輪車)

・hung one's head (深く恥じる、うなだれる)

fez (フェズ、トルコ帽)

 

お気に入り度:

Rotten Ralph (あくたれラルフ)」のシリーズ本ですが、このHelps Outの方がラルフのいたずらがソフトで笑って流せる程度なので、私はこちらの方が好きです。

 

古代エジプト(人)に関する知識も身につきます。(どこまで真実かわかりませんが)古代エジプト人がパンケーキを発明したこと、ネコを初めてペットにしたこと、古代エジプトにも図書館があったこと、握手を考えだしたことなど。

イラストの独特の絵柄も、古代エジプトというテーマによく合っていると思います。

 

 長めのストーリーですが、4つの章に区切られているので、小さい子への読み聞かせなどは章ごとに読んでもよさそうです。

 

Rotten Ralph Helps Out

Rotten Ralph Helps Out